エコーキャンセラとは
声を出してみると,耳から自分の声が聞こえます。もちろん,耳は他の音も聞こえます。いろんな音が混ざるのに「自分の声」が聞こえても,あまり気になる方はいないのではないでしょうか。それは「脳」が自分の声を意図的に「無視」するようにしているからです。一方で「マイク」と「スピーカ」を持った電気機器も,自分で出した音を聞くことができます。ですが,「脳」がないので自分の音を「無視」できません。実は「無視」できないと,とても不快なんです。「脳」で行っている「自分の声を無視する」を意図的行う技術。それが「エコーキャンセラ」です。「エコーキャンセラ」を行っている技術とその応用例などを紹介いたします。
エコーキャンセラについて
電話・テレビ会議,インターホン等,スピーカとマイクを使用した通話を拡声通話といいます。
音響エコーキャンセラを使用すると,拡声通話で発生する音響エコーを取り除き,スムーズな会話を行う事ができます。
音響エコーとは
山に向かって叫ぶと自分の声が返ってきます。
同じように拡声通話では,自分の声が相手側のスピーカとマイクを通して返ってきます。 これが音響エコーです。
音響エコーには直接マイクに拾われる音や,色々な反射音が混ざっており, 耳障りで喋り辛くなってしまいます。
山彦
音響エコー
ハウリングの発生
返ってきた音響エコーが再びマイクに入り,グルグル回ってしまうのがハウリングです。 ハウリングが発生すると“キーン”とひどい音が発生し,会話ができなくなってしまいます。
ハウリングの発生
音響エコーキャンセラの働き
音響エコーキャンセラは相手から送られてきた音声「コンニチワ」は相手に返さず, マイクに向かって喋った音声「久しぶり」だけを送り出す動作をします。ハウリングの防止も行います。
音響エコーキャンセラの働き
音響エコーキャンセラを設置すると
両方に音響エコーキャンセラを設置すると,両者ともスムーズな拡声通話を行うことができます。
両方に音響エコーキャンセラを設置した場合
音響エコーキャンセラの仕組み
基本的な音響エコーキャンセラは適応フィルタ,エコーサプレッサ,およびボイススイッチからできています。
適応フィルタはマイクに戻ってくるエコーを予測して取り除きます。
エコーサプレッサは適応フィルタでの消し残しを小さくする処理を行います。
ボイススイッチは適切に音量を制御する事によりハウリングの発生を抑えます。
音響エコーキャンセラの仕組み